河内章
河内章

河内章のホームページ

                                                  河内 章        画家 

近代という時代は, 総じて戦争による伝統の破壊と改革の時代ある。その惰性で世界全体が動いている。中でも科学(テクノロジー)をはじめとして経済(高度資本主義)・政治(民主主義)が文明社会の骨格として主役となっている。この社会においては未だに少数ではあるがこれらのすべてに対して懐疑の思索を続ける人々がいる。古代文明における「霊」「魂」の発見とそれへの回帰を試みる人たち。霊魂という不可解なものこそが人間の本質なのだと。それは現代文明が唯物論を根強く信奉し「霊的なもの」は疎外されてきた為に次第に人間存在そのものに赤信号がともされたかに見える。

西欧世界は, ギリシャ・プラトンの真理論。すなわち本質と仮象, 真理と仮象の二元論によって永らく多くの哲学を生んできた。しかし現代においては、戦争という愚行のみならず自然災害が驚異的なエネルギーを爆発させ、人間存在を脅かし営々といて築いてきた文明社会を破壊しようとしている。

 3.11に東日本を襲った大災害はまさに「人間存在が無意味ではないのか?」と自然から問いかけられているともいえる。この事実が現代人の精神に退廃やニヒリズムを生む。芸術はこのニヒリズムを克服することができるのではないだろうか。それは芸術家にその自覚と追求心あればこそであるが…通常は芸術に, 目標や意味はないと思われがちだがそういう人たちは、自分自身の精神のあり方を芸術作品に観てとって,いやこれは私の顔ではないと否定しているようなものだ。芸術家は社会に対して人間存在の意味を説き明かさねばない。